2015年01月29日

【東電原発事故聴取記録】 原子力”ムラ”の不愉快な仲間たち・・・?

 東電原発事故についての政府事故調査委員会によるヒアリング記録は9月以降も順次公開されている。東京新聞に掲載された部分を引用する。


 2014年11月12日、新たに56人分と一団体の聴取記録が公開され、11月13日の東京新聞に掲載された。
 経済産業省原子力安全・保安院の現地事務所副所長(匿名)によると、事故発生後は7人の保安検査官のうち3人がオフサイトセンターに詰め、4人が第一原発の敷地内に留まることになり、現地対策本部のある免震重要棟に配置された。
 しかしその翌日(3月12日と思われる)、その4人がオフサイトに戻ってきてしまった。「サイト(原発)内の放射線量が上昇し身の危険を感じたためで、彼ら自身の判断だったと聞いている」。要するに、必死で対応している東電社員や関連・下請け会社の作業員らを見捨てて逃げてきたということだ。「保安検査官」の任務を放棄したってことだな。
 その後、(オフサイトセンターの)所長がこの4人に対し現地に戻るように指示した。「『現地に保安院関係者が誰もいないのはありえない』という海江田大臣の意向だったと後から聞いた」。たしかにありえねーよな。
 しかしこの指示を受けても「三人は仕方ないという感じだったが、(残る一人の)検査官は『保安検査官が現地にいってもどうにもならないであろう。なぜ行かなければならないのか』と再派遣に強く反対していた」。
 たしかにどーにもならねーだろうけど・・・なんかやることあんだろうよ。「首相は来ないで下さい、邪魔だから!」とか、「海水を注入するって決めたんです!話を蒸し返さないで下さい!」とか、「吉田所長は撤退するなんて言ってませんけど?」などと、現地の政府機関の立場で官邸を説得するとかさ・・・。
 しかしこいつらは現地に戻っても「積極的に情報を集めようとしなかったと、政府事故調の報告書でも批判されている」。全然やる気なかったんだな。しかもその次の日はまたしても無断で現地から逃げ出したんだとさ。

 同じく11月13日・東京新聞より、全国漁業協同組合連合会(全漁連)漁政部部長の大森敏弘氏の調書。
 2011年4月2日、第一原発2号機取水口付近から高濃度汚染水が漏出していることが発覚し、全漁連は東電にこの事件について説明するように要請。4月4日午後1時頃東電の広瀬直己常務(現社長)らが来訪し、「二度と流出させない」と謝罪した。汚染水対策は見通しが立っていないが、ピットからの漏洩防止対策を行い、汚染水はメガフロートなどを利用して貯蔵すると説明したという。
 その後大森氏は関係省庁に、二度と汚染水を流出させないよう要請に出向いた。しかし午後3時過ぎ、農林水産省へ要請していたところ広瀬氏から電話がかかってきた。
 「先ほどの説明の中にはありませんでしたが、急きょ、低濃度汚染水を海洋放出することになりました。これは決定事項です」
 おいおい、2時間前に「二度と流出させない」って言ったのを忘れたのか?
 「午後1時からの説明では二度と汚染水を流出させないようにすると言いながら、同じ日に意図的に汚染水を放出するのはだまし討ち以外の何物でもない。東電内部で海洋放出を検討していたにもかかわらず、それを常務が全く認識していないという東電内の情報共有体制も信じられない」
 あるいは、知っていたけど黙っていたのかも。それで後から追及されたら「いや、お伺いした時点より前に既に決定していたことですから、特にご説明の必要は無かったと思います」とか言って開き直るんだろうな。企業とか役所ってそうやって逃げるもんな。

 2014年12月25日には新たに127人分の調書が公開された。12月26日・東京新聞から引用する。
 小林勝・原子力安全・保安人耐震安全審査室長(当時)によると、第一原発に敷地の高さを超える津波が襲う可能性があると認識したのは「3号機でプルサーマル計画が始まる2010年3月ごろ」。保安院の安全審査課長と、貞観地震について「ちゃんと議論しないとまずい」と話し、(同年7月ごろ)「原子力安全委員会に話を持っていくべきだと具申」したが、この課長は「その件は安全委と手を握っているから、余計なことは言うな」と言ったという。「手を握っている」とは、余計なこと言わないように申し合わせしている、ということか?当時のこの課長の感心は「プルサーマルの推進」だった。混合酸化物(MOX)燃料の利用は当時の国策であり、保安院もこの国策に従順だったようだ。
 また小林氏は、広報課長からは「あまり関わるとクビになるよ」と言われたという。クビになるべきなのは津波の危険性を握りつぶそうとする奴らの方だと思うけど。まあヤバいことを忠告する者を排除しようとするのはどこの組織(官・民問わず)も同じようなもんだ。
 保安院と東電の週一の「朝会」では、審議官が東電の吉田昌郎管理部長(後の第一原発所長)に、「貞観地震の津波は大きく、繰り返し発生している」と忠告していた。東電側は「12年秋の学会にあわせて貞観地震の評価をしたい」と答えたという。うーむ、1年半遅いな。もっとも、どうせ「津波なんか滅多に来ないし、来ても大丈夫」と「評価」するだけだったろうな。
 「『そんな悠長なことではだめだぞ』と言ったが、それ以上強くは言わなかった。正直なところ、3.11のような大津波が来るとは思っていなかった」

 ちなみに紙面には、保安院がこれまで原発推進のために行ってきた「ヤラセ」が列挙されているので引用する。
 2005年10月 九州電力玄海原発のプルサーマル計画のシンポジウム
 2006年06月 四国電力伊方原発のプルサーマル計画のシンポジウム
     10月 東北電力女川原発の住民説明会
 2007年08月 中部電力浜岡原発のプルサーマル計画のシンポジウム

 また2006年5月には、事故に備えた防災重点区域を検討しようとした原子力安全委員に対し、院長が「寝た子を起こすな」と圧力をかけていたという。原発事故を想定して対策するのが保安院の仕事じゃねえか?組織のトップ自身がそれを放棄するとは、わけがわかんねーよ!

 独立行政法人産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長の岡村行信氏は2001年頃から原発の審査に携わったが、「電力会社の活断層調査がずさんなこと」に驚いたという。
 09年6月の保安院の会合では貞観地震について発言したが、「電力会社はまじめにやる気があるのか、ごまかす気なのかという感じ。東電の態度に違和感があった」と語る。真面目に活断層の評価をしたら日本に原発造る場所なくなっちまうもんな。
 「しかし貞観地震は確実に存在した。堆積物や文献の記述もある。千年に一度と言われるが、400〜800年周期で反復していると考えている。原発は10万年に一度の災害にも備えないといけない。東電は11年5月の学会で、津波の堆積物が見つからなかったから津波は低かったとの趣旨の発表をしていたが、その考え方はおかしい。貞観津波の再来があっても、問題ないと主張したかったのだろうか」
 10万年に一度の災害に備えていたらコストが合わねえんだろうな。それどころか1000年に一度の災害すら、無かったことにしないと操業できねえんだろうな。

 保安院統括管理官(当時)の山形浩史氏は、電力会社の無責任さに呆れ果てていたようだ。
 「(電力会社は、自然災害への対策を)ほっとくとやらないし、そんなことをされると地元対策が大変。彼らとしては、『安全で事故は起こらない』という説明を散々してきていて、(規制側から)『起こるかもしれないから対策を取れ』と言われても、(実際に対策をしたら)地元は納得しない。何のメリットもない。デメリットばかりで邪魔で仕方がない。そんなことをされたら困る、という意識だったのでは。
 私が(電力会社に何かを)言った時でも、ありとあらゆる場面で、嫌だ嫌だというような話だったし、指針の見直しだと言った時も、ありとあらゆるところからプレッシャーを受けた。類推になるが、事故が起きないと彼らは絶対に動かないところがある」
 たしかに、地元には「原発は安全です!事故なんか絶対に起こりません!」って説明してきたのに、今更地震や津波の対策始めれば、「安全です」って説明がウソだったことになっちまうよな。要するにそういうウソで固めないと原発は成り立たないんだよ。そんでもってそういうウソを崩そうとするとたちまちヤクザな奴ら(あるいはヤクザそのもの)に潰されるわけだな。

 匿名の東電社員は、自社の「危機管理」の甘さを告白する。
 「(自然災害などの)外部事象は、アクシデントマネジメント(事故対策)の対象外」であり、複数の原子炉が自然災害によって同時に損傷・機能損失することなど想像もせず、そのような想定を立てる必要性も感じていなかった。
 しかも、「設備を埋めるような津波は考えていなかったし、津波の議論も当時は承知していなかった」
 全交流電源喪失は想定していたが「隣接プラントが生きている前提」だった。福島第一原発のような事態は想定していなかった。「2台目の非常用ディーゼル発電機を設置する際、別の建屋にするとか、設置場所の高さを変え」るような発想は「全くなかった」

・・・以上、2014年12月26日・東京新聞からの引用。前にも書いたと思うが、複数のディーゼル発電機やバッテリー電源装置などが機械的な故障によって同時に全て動かせなくなり、しかも隣の建屋でも同じ事態が発生・・・という確率は、そりゃほとんどゼロだろうよ。理系の人間ってゆうのはそういう机上の空論の上で胡坐をかいているんだ。文系の人間も馬鹿だからそれを鵜呑みにしちまうんだ。専門家が言ってるんだから大丈夫、とね。
 しかし福島第一原発のようにそういった非常電源装置が全て地下にあれば、浸水すれば当然全てお釈迦になる。ただでさえ海に近いのに、こんな雨の多い国なんだから、地下室の浸水は想定しなくてはならない。「自然災害などの外部事象」が、二重三重のバックアップによって守られているはずのプラントにどんな影響を与えるのか多角的に考察し、考えられる全ての危険性に対処しておくべきだったんだ。しかし東電にとってそれは「対象外」だった。これじゃ原発事故が起こって当然だよな。
 津波や地震まで考慮すればどんな頑丈な施設にしてもおっつかないから、テキトーな所で手を打たなきゃなんないんだろうよ。あるいは、この東電社員が言うように、原発の技術だけに頭が向いていて、そっち方面に全く関心が無かったのかも。あるいは、自然災害のことなど無視した「危機管理」を構築する流れに、誰も異論を唱えられなかったのかも。

 それにしてもさ、まともに地震・津波の対策を行わず、平気でウソをつき、都合の悪い指摘は圧力をかけて黙らせ、いざとなや自分だけ逃げ出すような奴ら(東電幹部や役人、政治屋)が、原発を再稼働しようとしてるんだよ。また事故起こっても、事実を隠蔽し、安全だとウソをつき、自分だけ逃げ出すに決まってるぞ。
posted by 鷹嘴 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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