【追記のお知らせ 2017年4月9日】
 記事「【5月7日】雁屋哲さんの講演+井戸川克隆さんと対談」に、「美味しんぼ『鼻血問題』に答える」から福島現地での鼻血の症状についての報告例を引用しました

2015年02月14日

福島第一原発の元労働者がガンで胃と膀胱を全摘、労災を申請・・

 2015年1月15日・東京新聞に、東電福島第一原発でのガレキ除去作業で被爆したためガンを発病し労災を申請している労働者の記事が掲載された。中日新聞のウェブサイトに全文掲載されているが、中日新聞や東京新聞ウェブサイト記事はいつの間にか消されていることも多いので、内容を(多めに)引用する。


◇ つなごう医療 中日メディカルサイト がん3カ所 福島第一原発元作業員 (魚拓)

 2011年7月、重機オペレーターの経験がある札幌市の男性(56)が、東京電力福島第一原発で働き始めた。大型トラックに乗せた鉛の箱の中でモニターを見ながら重機を遠隔操作してガレキを除去する作業だった。
しかし直接現場を見ながら操作しないと作業出来ない場合があり、鉛のベストを着て30分交代で重機に乗り操作した。重機で移動出来ない小さい瓦礫は「腹で支えるようにして手で持って運んだ」。
 しかしがれきの中には赤で「×100」「×200」などと書かれた物もあり、これは毎時100ミリシーベルトや200ミリシーベルトの放射線が発生していることを示す印だった。
 「やべえなぁと思ったが、元請け社員もやっていた。やらないわけにはいかなかった」
 しかもこのような(線量計の警報が鳴りっぱなしになるほど被曝するような)作業の場合、被曝限度に達し作業が出来なくなることを避けるため「線量計をトラックに置いていかざるを得なかった」。この男性の同年10月末までの4ヵ月間の被ばく線量は、記録上56.41ミリシーベルトだが「実際はこんなものではない」。
 翌年春に血尿が出たため診察を受けると膀胱癌が発見された。その一年後に東電の負担でがん検診を受けると、大腸ガンと胃がんが発見された。しかし「東電や厚生労働省の窓口に相談したが、『因果関係がわからない』とたらい回しにされた」。
 男性は大腸がん切除と、胃と膀胱を全部摘出する手術を受け、重度障害者の認定を受けた。転移したわけでもないのに1年余りの間に3か所にガンが発生したのは被ばく以外の原因は考えられないだろう。13年末に、ガンは被ばくが原因であるとして労災を申請した。この記事が出た時点では認められていないようだ。
 男性は、
 「国や東電は検査を受けろと言うが、労災が認められなければ治療は自費。命懸けで作業をしたのに使い捨てだ。働きたくても働けない。個人では因果関係を立証できない。国は調査するなら徹底的にしてほしい」
 と憤る。

 まあたしかに、1年余りで身体の別々の3か所の部位にガンが発生したからといって、絶対に絶対に被曝のせいだ、とは言えないよな。かといって医学的に確実に証明しなければならないのか?(そんなの無理だろ)
 電力会社や国・自治体は、甲状腺がんを発病した福島の子どもたちや、健康を損ねた原発労働者に対し、被曝との「因果関係」を認めず放置しようとする。水俣病など公害病の認定も不当に基準を高くする。
 (何度も受け売りするが)刑事事件は「疑わしきは罰せず」の原則を守らなくてはならない。「白」か「黒」かの判定において少しでも灰色が混じれば無罪とされなければならない。それとは逆に、原発による被曝や公害病については「疑わしきは補償する」べきではないか。少しでも企業がまき散らした毒物の影響が疑われるなら、一律に補償するべきではないか。これも受け売りだが、刑事事件では99人の真犯人を捕えようとも1人の冤罪被害者を生んではならない。逆に公害病や原発の被害なら、被害者への補償をただの一人も漏らさないために、少しでも影響が疑われるなら補償するべきだ、と思う。この元労働者の労災申請は直ちに認められなければならない。そして東電(と全ての電力会社)は、全ての被曝した労働者に補償を行わなくてはならない。


 そもそもこうした作業が行われていることが異常だ。2012年7月21日に朝日新聞が報じたが、第一原発復旧工事の下請け会社役員が作業員に対し、線量計の表面を鉛のカバーで覆うように指示していたことが明らかになったことがある。
◇ 中村隆市ブログ 「風の便り」 - 線量計に鉛板、東電下請けが指示 原発作業で被曝偽装
 しかしこのように上司が作業員にあからさまに違法な指示をするケースは少ないのではないか?言うまでもなく東電の現場担当者や「元請」の責任者の立場では、作業員が放射線量の高いガレキを腹に抱えたり被曝量の多くなる作業で線量計を外したりすること、絶対に認められないことだ。建前はな。
 しかし(前も同じことを書いたが)、どうしてもルールを無視した作業をしなければ、その日のノルマさえ達成できないこともある。ルールを遵守させるべき立場の者も、そのような作業が行われていても黙殺してしまう。これはどんな職場でもあり得ることだ。働いたことがある人なら分かるはずだよ。
 企業にとっては工程や納期を守らせること以上に、決して事故を起こさせないことが重要なはずだ(人身災害も、物損事故も)。事故を起こせば契約を失うかもしれないからな。しかし多くの企業は目先の利益に拘り、職場の安全を疎かにする。
 企業は建前だけでなく、職場の安全を遵守させなければいけない。工程や納期よりも優先しなくてはならない。最も守るべきものは労働者の安全確保だ。それが出来ないなら止めちまいな。国・自治体も、安全を遵守しないような業者と取引してはならない。というか常に監視・指導しなくてはならない。

 それにしても原発労働というものは、大事故を起こした東電福島第一原発事故の廃炉作業だけでなく、通常の廃炉作業でも、稼働開始後の定期点検でも、労働者に被曝を強い健康を損ねていくものだ。原発とは労働者の被曝無しでは成り立たない物だ。この一点だけでも、原子力発電事業は直ちに廃止しなくてはならない理由になる。しかし日本政府は原発再稼働に向けた動きを強めているなあ・・・
posted by 鷹嘴 at 15:10| Comment(1) | TrackBack(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本当に無茶苦茶な「現実」ですね…
通常運転においても「被曝労働」はまぬかれない…まして事故をおこした原発の「後片付け」作業は、誰かが「被曝」しなければならない(そしてそれは常に「弱者」に押し付けられる)

やはり全ての原発を1日も早く廃炉にすべきでゲソ
Posted by あるみさん at 2015年02月15日 20:04
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