このカラクリは“Foreign Military Sales”(有償軍事援助)という、アメリカ政府との武器輸入方式によるものである。2014年12月23日・東京新聞より引用。
FMSとはアメリカの武器輸出管理法に基づき、武器輸出適格国に「武器を有償で提供する方式」。米国防総省の下部組織「相互防衛援助事務所」が窓口になり、「売り手・買い手の双方が納得して契約する一般的な輸出入と異なる」。どういうことかというと、
1.価格、納入期限は見積もりに過ぎず、米政府はこれに拘束されない
2.代金は前払い
3.米政府は契約を解除できる
という、極めてアメリカに有利過ぎる馬鹿馬鹿しいものだ。
呆れたことにこの方式でアメリカと武器取引するのは160ヵ国に上るという!アメリカの武器は「高性能で信頼性が高い」ので、「周辺国がアメリカ製を持つなら、自国も同じ武器がなければ対抗できない」という焦りから、このようなアメリカの好き放題を許す情勢になっている。
日本政府は日米相互防衛援助協定に基づきFMS方式で、イージス艦のイージスシステムや、対戦車誘導弾「ヘルファイヤ」、AAV7(水陸両用強襲輸送車、一台12億円)などの提供を受けている。さらに2015年度防衛予算ではこのFMS方式でオスプレイ(一機92億円)、E2D(早期警戒機、一機144億円)、グローバルホーク(無人偵察機、一機142億円)などを購入する予定だという。
なお「今回防衛省の選定対象となった早期警戒機は商社を通じて輸入する機種も候補になったが、総合点でE2D」を選ぶことになった。無人偵察機の候補は二種類ともFMSの対象のため一般輸入は不可能。また一台12億円のAAV7は5年間で52台!も輸入するため防衛省は国内製造ライセンスを求めたが、米政府は拒否。
防衛省幹部は、
「米国防総省は歳入増につながるFMSの範囲を広げている。防衛省が買いたい武器類はみんなFMSだ。米政府が武器輸出を管理することで、輸出相手国を米国のコントロール下に置く狙いもある」と語る。それだけ分かってんなら止めればいいのにな。税金をなんだと思ってんのかね。
防衛省がFMS方式で武器を調達する年間支払額は毎年1兆円前後だが、兵器の代金を前払いしたのに現物が届いていなかったり、支払いは済んだのに書類上の手続きが完了していない金額を合計した未精算額は、2013年度の段階で532億円に上る(年間支払額も未精算額も増加傾向)。ここまでコケにされても、まだアメリカ追従を止めないんだねえ。
それにしてもさ、オスプレイみたいな「未亡人製造機」は論外だが、なんで自衛隊に無人偵察機とか水陸両用戦車が必要なんだ?そもそも戦車とか戦闘機とか侵略戦争のための道具だろ?このまえ安倍の馬鹿が本音を漏らしちゃったように、自衛隊とはれっきとした軍隊だ。侵略戦争のための軍隊なんだ。日本政府はアメリカの下請けで侵略戦争やる気満々だな。そういうわけで以下は毎度の雑談。
言うまでもなくアメリカ政府も軍需産業も売り込みに必死だろう。たとえばオスプレイ開発・製造には全米の数千の企業が関わっているらしいし。アメリカ経済だって破綻寸前、死の商人はやめられない。
政治家は選挙資金や組織的な支援が欲しいため企業のいいなり。官庁も企業と癒着する(アメリカじゃ、官僚が政府組織と企業を行ったり来たりする「回転ドア」が横行してるってよ)。そして奴らはメディアを通じてイスラム武装組織のテロが怖いなどと不安を煽り、「国民」はあっさり騙され排外主義に染まる。こういう世論の支持を得て世界中で戦争を起こし、ますます軍需産業が潤う。
ついでに言えば、企業は競争力のため(人件費削減のため)外注化や非正規雇用化を進める。御用組合は保身のため経営側と癒着し経営方針に異を唱えない。組合員ではない労働者の立場は黙殺する。こうして労働者・人民が分断され、ますます企業と政府のやりたい放題。労働力搾取のため外注化は海外へも及ぶ。外国人労働者は使い捨てにされる。
これらは日本も同じ構造だよ。電気が足りないから原発動かすんだ、中国が怖いから防衛力強化だ、とか煽ってるじゃんか。それで役人が甘い汁を吸い、原発屋や死の商人が儲けるんだろ。こうして考えてみると、世間のいろいろな問題がリンクしてるんだね。
昨年末だったが東京新聞に(切り抜きを失くしちゃったが)「ナショナリズムとは、列強による植民地時代後にでっち上げられた観念である」というコラムが掲載され、なるほど!と思った。
かつて人々は行動範囲が狭く、自分の村の周囲のこと程度の見聞しか無かっただろう。しかし欧州各国は植民地経営によって利益を得るため強大な軍事力を欲した。そのための徴兵・納税強化のため、「国」や「国民」という観念が作られた。つまりナショナリズムは資本がもたらした、というのだ。
これは日本も同じだな。今でも「お国」という言葉のニュアンスが残っているが、江戸時代では武士も「国」と言っても自分の藩ほどの観念しかなかっただろう。しかし明治維新後、天皇などという古ぼけた権威が持ち出され、「日本国民」という観念がでっち上げられた。元をたどれば資本家の利益のためではないだろうか。「富国強兵」という言葉が示すように。
「強兵」によって「富国」するためにはナショナリズムを必要とする。そのために「天皇」の存在すら知らなかった庶民に、この虚構を信じ込ませた。こうして薩長政権にすっかり騙されてしまった。天皇なんてものを有難がり、近隣諸国の人民を蔑視し憎悪するように仕向けられた。俺たちは、政府や資本家に簡単に騙されるというか洗脳されちゃうんだよ。
こうして我々は「国家」という幻想を信じ込み、政府・資本家にコントロールされるようになってしまった。ナショナリズムを煽られていがみ合っていれば死の商人や支配層に好都合だ。しかし我々は国籍や肌の色が違えども、労働者であり、人民だ。我々を分断することで利益を得ている各国の政府・資本家に対し、国境を越えて団結して闘わなくてはならない。軍隊という、統治機構を(あるいは軍隊組織自体を)守るだけの有害な組織を否定しなくてはならない。
そのためにまず「国家」という幻想を捨てなければならないな。これは「日本人」だけに言えることじゃないよ。「*国の奴らムカつく」とかいがみ合ってるようじゃ死の商人の思いのままさ。
あと、「ナショナリズム」が近代資本主義の中から生まれたものであると言う意見にも、同意!
ないです。そもそもそれらを運ぶ船がロクに無いのにどうやって侵略するんですかね・・・
戦車は侵攻を受けた際の反攻能力の中核となります。戦闘機は制空権を保持するのに絶対必要です(制空権が無ければ防衛などままならない)。
他にも色々突っ込みどころ満載な文章をお書きになっていますが、是非一度 防衛などに関してお勉強されたら如何ですか。