2017年6月15日、参院本会議で共謀罪成立。この怒りと、共謀罪廃止を目指して闘う決意をブログに書こうと思っていたのに・・・怠惰のせいで手付かず、7月11日にこの”稀代の悪法”が施行され、気が付きゃ8月後半だ。
今のところこの悪法によって検挙されたという話は聞かないが、これからどんな世の中になるのか。なにしろ、話し合ったり「下見」しただけで逮捕されるんだろ。デモなんか行ったらアウトだよ。それにネットに好き勝手なこと書ける時代はそろそろ終わりだ。もう当り障りのないことしか書けないね。メールやLINEのやり取りだって危ねえってゆうじゃん。
政府に批判的なツイッターアカウントはリムーブしたほうが、いやブロックしたほうが安全かも。危険なブログは見ないほうがいいかも。いやググるキーワードも気を付けたほうがいいね。
それだけじゃない、友人や家族との会話も気を付けないと。酒飲んだ勢いで「戦争いやだ」とか言ったらヤバイよ。それどころか全世帯に監視カメラが設置されるかも?(東京新聞のマンガにあったw)。スマホなどの端末を通して、個人の会話が常に権力に筒抜けになるかも?
・・・こんな世の中にしたくないから、共謀罪廃止のために闘わないと。遅くなりすぎてかっこ悪いが、まずは今年前半の新聞記事の引用などから書いていくことにする(いくつかに分けて書く)。
2017年2月7日・東京新聞「こちら特報部」より引用。政府は共謀罪についてテロを防ぐために必要な法律だと言い張るが、そもそも、いわゆるテロ行為を共謀段階で取り締まる法律は既に存在する。
法務省は(テロ対策のために)現行法では対処できないとする「3つの穴」を示し「テロ等準備罪」が必要だとするが、2月3日の衆院予算委員会で山尾志桜里議員は「そもそも穴じゃないものまで、無理矢理穴を開けてるんじゃないか」と追及。
1.テロ組織が大量殺人のため毒ガス製造を計画し、その薬品を購入した場合。これを法務省は現行法では取り締まれない「穴」だと言うが、オウム事件の後に成立した「サリン等による人身被害の防止に関する法律」に予備罪があるという。
たしかに、サリン等による人身被害の防止に関する法律には、次のような条文がある。
「第五条 3 第一項(サリン等の発散)の罪を犯す目的でその予備をした者は、五年以下の懲役に処する」
これについて山尾氏は「対象の薬品を指定する政令の改定で対処できる」と指摘。たしかに、VXガスとか青酸ガスとかも指定すればいいんだ。
また、金田勝年法相は「テロ等準備罪」ではどんな薬品(の入手)を想定するのかについて「具体的な薬品を想定したものではない」と、安倍は「未知の毒物」への対応の必要性だと主張。
薬品を特定せずに一網打尽にする、という想定に山尾氏は激しく反発。「罪刑法定主義(犯罪行為や刑罰は規定の法律でのみ定められるという刑法の基本原則)を覆す!」そりゃそうだ、ペンキとかシンナー買っただけででっち上げ逮捕されちゃたまらんからな。
2.テロ組織がハイジャックを計画し航空券を予約した場合も、現行法では対処できない「穴」だと言うが、よど号事件を受けて1970年に成立した「航空機の強取等の処罰に関する法律」にも予備罪がある。
「第三条 第一条第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、三年以下の懲役に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する」
1970年の参院法務委員会で当時の法務省刑事局長が参院法務委員会で「ハイジャック目的で航空券を買ったような場合が、予備に当たる」と答弁したという。山尾氏がこれを指摘しても金田法相は「一般論にすぎない」と開き直ったそうな。
※参考:「共謀罪」めぐり野党反論 ハイジャック目的の航空券予約「現行法で摘発可能」
3.テロ組織が大都市のインフラを麻痺させるコンピューターウイルスを開発するケースも、現行法では対処できない「穴」だという。
たしかに、2011年に成立した「不正指令電磁的記録作成(ウイルス作成)罪」は、開発を始めただけ(未遂)ではでは処罰されない。
これについて金田法相は「(ウイルス作成罪の未遂罪は)不当に処罰範囲が広がる可能性がある」から見送った、と説明。たしかに、普通にソフトウェア開発してるだけで言いがかり付けられかねないよな。
しかし方針転換してこの行為を罰するというなら、同法の未遂罪新設について議論するはずだ。金田法相は「組織的犯罪集団に限定する」から市民には関係ないと答弁。この言い訳については今更言うまでもない。政府の都合によって「市民」か「犯罪集団」か区別されるだけだ。
さらに勝手に追加するが、爆弾製造についても予備段階での取り締まりが可能だ。明治十七年太政官布告第三十二号(爆発物取締罰則)には次の条文がある。
「第四条 第一条ノ罪ヲ犯サントシテ脅迫教唆煽動ニ止ル者及ヒ共謀ニ止ル者ハ三年以上十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」
やはりこれも共謀だけで取締りが可能だ。以上のように毒ガス、ハイジャック、爆弾という主要な?テロ行為全てが共謀または予備段階で取締りが可能だ。やっぱ共謀罪いらないじゃん。
というわけで共謀罪が「テロ対策」とは無関係であることが分かった。真の目的は市民団体や労働組合を弾圧し、それどころか個人のネット上での些細な書き込みさえ監視し、人民を脅えさせ黙らせることだ。
(つづく)
2017年08月19日
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