2018年05月18日

ラウドパーク17の想い出(2)スレイヤーはスレイヤーだった!

 というわけで長々と脱線してしまったので、改めてLOUDPARK17の感想について書くことにするが・・・その前にまたちょっと脱線、川嶋未来さんのヴェノムについての論考について。
◇ SIGH川嶋氏がVENOMを語る!|HMV&BOOKS onlineニュース
 実に読み応えのある論考ではないか。(私見も交えて)勝手に要約させてもらいます。
 ヴェノムは(その筋のマニアの)評価こそ高いが、全然売れなかったせいで副業(ってゆうか本業?)を辞められなかったほどかわいそうなバンドだ(アンヴィルみたいな?)。後輩であるメタリカなど億万長者になったのに。
 たしかに演奏は下手すぎ、メタリカやスレイヤーのクオリティの高さには足元にも及ばない。しかしヴェノムがいなければこういう音楽は誕生しなかったかもしれない。全ての「エクストリームメタルの始祖」なのだ!それだけ偉大なバンドなのだ!
 もっとも・・・ファーストアルバム、セカンドアルバムは素晴らしかった。サードアルバムも悪くはないが、A面には1曲だけという大作志向であり、台頭してくる他のバンドを脅かすには至らなかった。
 1986年、メタリカはサードアルバムの"Master of Puppets"で、スレイヤーは同じくサードアルバムの"Reign in Blood"で非常に高い評価と商業的な成功を得て、その地位を不動のものにした。サードアルバムとは非常に大切なのだ。そして両者は「その後はこれら3枚目の遺産をゆっくりと食い潰し」ながら活動を続けている。
 しかしヴェノムは残念ながらそういう遺産となるようなアルバムを作れなかった。そして1985年の4枚目のアルバムで「凋落を決定的にした」。この年には既に、いわゆるビッグ4が評価の高いアルバムを発表している。こうしてヴェノムは過去のバンドとなってしまった・・・。
 たしかに3枚目が・・・いや3枚目くらいまでが大事だ。メタリカもスレイヤーも、4枚目以降も評価の高い曲・ライブで必ず演奏するような曲を発表しているが、やっぱりファンが期待しているのは3枚目までの曲だろ。たとえば(第2期)ディープパープルの「マシンヘッド」も3枚目だし、「インロック」も「ファイヤーボール」も名曲揃いだし。そんで4枚目でコケたな。曲を作るアイデアってそんな長く続かないだろ。早いうちにいいアルバム作っとかないとあとが続かないんだよ。行き詰ったら音楽性をガラっと換えるか、別のバンド作るしかないんだよ。3枚目どころか1枚目で終わったバンドってジャンル関係なく多いじゃん。挙げればキリがないよ。
 そりゃ、デビュー後何年も経ってから「これぞ彼らの最高傑作だ!」と思わせるようなアルバムを出すバンドもあるけど、そう感じるのは自分がそのバンドのファンだからかも。客観的に聴いてみれば同じ路線をなぞっているだけかも。そのバンドの個性を表す代表的な作品はとうに出てるんだよ。言い換えれば3枚目あたりまでの路線を超えられないというか、そこで完成したスタイルから離れることは出来ないんだ。アーティストも、ファンも。
 たとえばメタリカだったら俺はセカンドアルバム”Ride the Lightning”が一番好きだが、当時はまだ異端児呼ばわりする声も多かった。しかしサードアルバム"Master of Puppets"の発表によって絶賛に変わった。こうしてメタリカは伝説となった。その後は音楽性の幅が広がっていったが、やはりライブでは3枚目までの曲が主役だ。これはスレイヤーも同じだ。
 一口に「ヘヴィメタル」と言っても千差万別であるが、あえて一枚のアルバムを選ぶとしたら、スレイヤーの”Reign in Blood”だ。あまりにも過激でかつ完璧だ。まさに音の「殺人者」だ。ヘヴィメタルはこのアルバムによって完成した。このアルバムを誕生させるためにヘヴィメタルという音楽が発生したのだ(と言わせてもらう)。だからこんなアルバムを超えることなど無理なのだ。このアルバムによってスレイヤーはスレイヤーになったのだ(笑) このサードアルバムによって確立した音楽性を引き継ぎ、発展させることがスレイヤーの使命であり、我々ファンが期待していることなのだ。


 というわけでラウドパーク17初日のトリ、恐らくはこれが最後の日本公演になるであろうスレイヤー様の降臨だ。「プレミアム専用ビューイングエリア」のせいでますます狭くなってるのがムカつくなあ。

 1曲目は最新アルバムから”Repentless”、早速モッシュの嵐!なんと2曲目は初期の隠れた名曲”The Antichrist”だ!俺だって何度もスレイヤーを観ているが、この曲は初めてだ。こりゃ驚いた。すっげえうれしい!

 ちなみに毎度の如く入場規制しやがったせいで混乱が起きたらしい・・





 そして最新アルバムの曲に交えて“Disciple”“War Ensemble”“Mandatory Suicide”などお馴染みの名曲が続いたが、“The Antichrist”と同様に初期の名曲“Fight Till Death”をやってくれたのはうれしかったな。この曲もライブで観るのは初めて。


 ライブでお馴染みのスローで不気味な曲“Dead Skin Mask”でもモッシュが発生していた。我々ファンのスレイヤーへの愛の強さを象徴するようだ(笑)
 モッシュの光景は、傍目から見ればただの喧嘩に見えるらしい。たしかに危険な空間だけどさ(笑)、誰かが転べば周りがすぐ起こしてあげる。クラウドサーフィングから落ちそうになった人がいれば(頭から落ちないように)助けてあげる。靴紐がほどけた人がいれば教えてあげるし、その人が靴紐を結び始めたらみんなで手を広げて守ってあげる。・・・このように決して怪我人を出さないように配慮した上で(そりゃ多少のアザなど防ぎきれないが)、全力でぶつかり合う!渾身の力を込めて突き飛ばし合う!自分の興奮と感動を体で表現し、共有する。即ちモッシュとは愛だ!というわけでモッシュを敬遠してる皆さんも一度はこの愛に包まれた空間を体験してみて下さいね。


 ラストは、セカンドアルバムの名曲“Hell Awaits”。凄まじい破壊力!俺はこの曲でスレイヤーにはまったよ。
 アンコールはたっぷり4曲、“South of Heaven”“Raining Blood”“Chemical Warfare” 、と名曲が続き、最後は“Angel of Death”だ!プレミアムなんとかエリアのせいでサークルがL字型になっちゃったよw 
















 というわけで、やっぱりスレイヤーはスレイヤーだった!俺たちファンの期待を裏切らず、完璧に殺してくれた!ところで現在スレイヤーは「ファイナルツアー」の最中だという。
◇ スレイヤー、最後のツアー開催を発表 BARKS
 ということはもう来日公演は無いだろうね。寂しいけど、何度も何度も彼らに完璧に殺された想い出を胸に生きていこうと思う・・・。
posted by 鷹嘴 at 23:23| Comment(0) | ヘヴィメタルとか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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