この件、ツイッターに書こうと思っていたが長くなりそうなのでブログに書く。10月13日・東京新聞の記事「日本政府 補償3.2億円負担」及び「こちら特報部」より引用。
今年3月までの5年間で、日本に駐留しているアメリカ軍の軍人・軍属による事件や事故が2215件発生し、その損害賠償額のうち日本政府が3億2千万円も負担したという。
日米地位協定によると、米軍の軍人・軍属が「公務」で事故を起こした場合(米軍が公務だと認めた場合)、日米両政府が加害責任の割合によって補償額を分担する。米軍側に全責任があっても日本側が25%を負担することになっている。
「公務外」だと賠償責任は加害者個人のみに課せられるが、被害者は日本政府を通じて米政府に「慰謝料」を請求する手続きもある。1995年の沖縄で発生したアメリカ軍人による少女暴行事件以降、沖縄県民の「怒りが爆発」し、「反発や反感を鎮めるため、極めて少額ながら米軍が慰謝料を出すようになった」(沖縄弁護士会の新垣勉氏)。しかしこれは、「日本政府が算定した額」をアメリカ政府が無条件で受け入れるわけではない。「支払いの有無や額」はアメリカ政府が決定する。
このような事情から、被害者が提訴して判決で賠償請求を認められれば、賠償金額と慰謝料の差額を日本政府が負担する仕組みが作られた。これは「日米特別行動委員会(SACO)が1996年に出した最終報告に盛り込まれた」という。アメリカ政府ではなく日本政府が負担するのだ!
しかも、こうした手続きが煩瑣なため訴訟を諦めて泣き寝入りしてしまうケースも多いという。
「事情に詳しくない弁護士に相談し、『米兵相手の裁判は難しい』と言われて諦める人もいるだろう。公務外の事件・事故の被害者救済のため、最初に日本政府が補償をし、それを米政府や加害者に求める制度を作るべきだ」(沖縄弁護士会の新垣勉弁護士)
◇ 東京新聞米軍絡む事件・事故 5年で2200件 日本政府、補償3.2億円負担政治(TOKYO Web)
■ さらに「こちら特報部」には、アメリカ兵による犯罪の実例が紹介されている。
今年6月、山口県岩国市で、泥酔したアメリカ兵が車を盗んだ末に他の車に衝突して逃亡するという事件があった。事件を起こしたのはアメリカ軍岩国基地のマイケル・ガルシア(一等軍曹)。コンビニの駐車場で車を盗み、マンション駐車場に停めてあった自家用車に衝突して大破させた。このまま立ち去り近くで警察官に確保されたが逮捕はされず、9月に在宅起訴された。その後このアメリカ兵は自家用車のオーナー宅に訪れ跪いて謝罪したという。謝って済むんなら警察も裁判所もいらねえんだよ。
これは「公務外」の事故なのでアメリカ政府から期待できるのは「慰謝料」だけだ。オーナーの保険会社は、車軸が曲がっていて全損扱いなので時価額150万円と査定したが、加害者側の保険会社はそれより40万円低い額を提示。ふざけた話だ。オーナーが米軍、警察、県、市、弁護士、元県議など「あらゆるところに相談しても、らちが明かなかった」。
「中国四国防衛局に電話かけても『事故があったのは知っているが、話を受けていないので対応できない』と言われた。市は米軍から話を聞いているはずなのに説明もしてくれなかった」。最終的にはチャイルドシートの分も合わせて約185万円が支払われたが「人間不信になりそうだった」。
また、アメリカ兵が盗んだ車は買ってから2ヶ月しか経っていなかった。加害者からオーナーへの謝罪はあったが、今も補償についての説明はない。
「当初は事故が公表されず、無かったかのようにされていると感じた。(被告の)保険会社は当初、私が車を買った業者が算定した見積額の十分の一の額を出してきた。なんでこんなに長い間、不安にならなければならないのか」
■ 新垣氏は、この事件では加害者が任意保険に入っていたことが「せめてもの救い」だったと述べる。任意保険に入っていないケースだと、加害者に支払い能力が無ければ、あるいは出国してしまえば賠償請求は困難になる。アメリカ軍は「SACO」に従い、軍人・軍属だけでなく家族にも任意保険に加入するようにした・・・そうだが、これは必ずしも守られていないようだ。「保険料が高くなるのを嫌がり、対人だけ入るか、すぐ解約する」者もいるという。
日本政府が賠償請求額と慰謝料の差額を負担する仕組みについては、「これにより被害者救済は大きく前進した」(たしかに裁判で勝っても加害者に賠償能力が無きゃそれっきりだもんな)が、「損害賠償を日本政府が出さなければいけない点や、支払いに時間がかかるのに遅延損害金の規定がないなど問題がある」と批判する。
「米軍人・軍属による事件被害者の会」の村上有慶さん(沖縄県北谷町)は、1994年に家族が事故に遭った。「加害者の米兵には支払い能力がない」と言われたが、アメリカ軍や那覇防衛施設局に粘り強く通いつめ、賠償金を得た。その後もアメリカ兵が起こした死亡事故などの民事裁判に関わっている。
「民事訴訟の賠償額と慰謝料の差額は日本政府によって支払われる。自分たちの税金から出るのが屈辱で、受け取りを拒否しようとした遺族もいた。加害者が痛みを感じることはなく、これでは事件・事故は増えるばかりだ」
また村上氏は「公務上・公務外の区別をなくし、米軍人・軍属の家族が起こした事件・事故を含めて補償の対象にするべきだ」と、
新垣氏は「地位協定を改定し、公務外も日本政府がいったん全額補償した後、その分は米政府と加害者に求めると明記するのが最善」と、
さらに沖縄国際大学・前泊博盛教授は、「国が米軍の駐留を認めているとはいえ、米軍から受けた被害の補償などを、なぜ日本の税金で払わなくてはならないのか。日本政府がいったん立て替えた補償を、米政府が支払っていないケースもある。それは現在の日米関係における日本の主権の無さを示している」と指摘する。
■ 以下は私見。
こんなふざけた話があるものか。アメリカになめられっぱなしじゃねえか。それにしてもさ、こういうアメリカ兵の犯罪やアメリカ軍基地がもたらす被害については、自称愛国者のウヨ連中は沈黙しているよな。彼らの怒りの感情を全く刺激しないようだ。それどころか「アメリカに守られてるんだから仕方ない」とほざいたり、被害者をバッシングする始末。基地問題だけでなく、オスプレイだのF35だのポンコツを押し付けられるのも、成長ホルモン入りの牛肉や売れ残りのトウモロコシを押し付けられるのも何とも思わない。
要するに、国を愛している、民族の誇りを持っている、なんてのは全くのウソ。政権に盲従しているだけ。強者に媚びて弱者を叩くだけ。少なくとも日本のウヨはあらかたそうだな。そういう態度こそ「愛国」であると信じ込まされている。昔の誰かがそういうペテンを思いついたんだろうよ。
いや・・・そもそも国家ってもんは、都合によっちゃ「国民」であろうとも平気で虐殺・見殺しにする機関だよな。だから「国を愛せ」ってのはそういう行為を支持しろってことか。だったら矛盾しねえな。
ともかくこのような事件・事故を防ぐためにも、一刻も早く日米安保条約を破棄しアメリカ軍にお引き取り願うしかない。しかしそれで終わりじゃないよ。日本から去ってアメリカ本土に戻った兵士らは、今度こそ大人しくしているだろうか?そんなことはない、犯罪は繰り返されるだろう。
軍隊と犯罪は決して切り離せない。自衛隊にはびこるいじめ問題、自衛官の自殺や犯罪から分かるように、軍隊は「平時」においても人間の心を蝕んでいく。
だからこそ全ての軍隊を廃止させなくてはならない・・・のだが、そもそも「国家」という機関は、軍隊という暴力装置を保持することで、その支配権を正当化している。「自衛官が集まりません、だから解体します」じゃ、権威がもたねえんだよ。要するに軍隊と国家とは一体の物であるから、両方ともまとめて消し去るしかない。我々労働者人民にはその力がある。
2019年10月18日
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