この記事は毎度の如くネットから切り張りしただけの備忘録。忘れちゃならんことだからね。
2023年3月2日、立憲民主党の小西洋之参院議員が参院議員会館で、彼が総務省から入手した内部資料について記者会見を行った。その資料によると、2014年から2015年にかけて、礒崎陽輔首相補佐官(当時)が総務省職員と何度も会談し、放送法の政府解釈変更を迫ったという。
放送法における、放送局が「政治的公平」かの判断は、その放送局の番組全体で判断するというのが従来の解釈である。磯崎氏の要求は、一つだけ極端な主張の番組があっても、その局は「政治的公平」を損なっている、と判断できるように解釈変更するべきだ、というもの。
これに高市早苗総務相(当時)も同調した。2015年2月には総務相大臣室で高市氏と総務省安藤局長らの会議が行われた。従来の法解釈を説明する安藤局長に対し、高市氏は「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」と述べた。
なお磯崎氏は「激昂」することもあり、「この件は俺と総理が2人で決める話」「ただじゃあ済まない。首が飛ぶぞ」などと言い放ったという(参考)。
安倍晋三首相(当時)にも放送法解釈に「前向き」だった。3月には高市氏と電話会談し、「総理からは、『今までの放送法の解釈がおかしい』旨の発言。実際に問題意識を持っている番組を複数例示?(サンデーモーニング他)」したという。
そして高市氏は2015年5月の国会で、自民党の藤川正人参院議員の質問に対し、ある放送局が「政治的公平」な報道をしているか否かについては、番組全体でなく一つの番組でも判断出来る、と答えたが、これは礒崎氏が総務省に準備させていた答弁だった。
磯崎氏は、@選挙が近いのにある候補だけを番組に登場させたり、Aある番組で「国論を二分」する問題について一方の見解のみの主張であり、その局でそういう番組が一つだけであっても、放送法に反する、という解釈を求めた。
@はまず無いだろうが(むしろ自民党や維新の議員の露出が多すぎる気がするが)、Aこそ、自民党にとって気がかりなのだろう。たとえばTBSだったらサンデーモーニング、テレ朝だったら報道ステーションかな、古賀茂明氏のような論客が、安倍政権の方針をメッタ斬りにすれば、テレ朝は放送法に違反している、このままでは停波やむなし・・・と脅したいんだろうね。
ちなみに、高市氏の国会答弁に先立つ2014年11月に、自民党がテレビ各局に対し「公平中立」な報道をするように「お願い」文書を送付している。これらの動きは、(2015年9月に憲法を踏みにじる形で成立させた)安保法制に批判的なテレビ局への牽制のつもりだったのだろう。
また2016年2月には高市氏が国会で、「政治的公平」に反していれば電波停止を命じる可能性に言及している。小西氏が暴露した資料は、これらの放送法解釈についての政府の主張が、官邸主導で進められたことを明らかにするものだった。総務省が勝手に解釈を変えたわけじゃない、安倍の取り巻きとその脅しに屈した官僚が、法を捻じ曲げたんだよ。
ところが3月3日の国会で高市氏は、小西氏が公開した資料は捏造だと強弁し、もし捏造ではなかったら閣僚も議員も辞職するのか、と迫られると、「結構だ」と啖呵を切った。
しかし3月7日、松本剛明総務大臣が「この文書は総務省が作成した公文書にまちがいない」と認め、しかも総務省はその文書を公開した。
そのため高市氏は、「捏造」だという主張は撤回したが、「78枚のうち4枚は事実ではない」と論点をずらした。不正確かどうかはともかく、捏造じゃないのは認めたんだろ。議員辞職しなくていいの?
その他にも「礒崎さんという名前、もしくは放送行政に興味をお持ちだと知ったのは、今年3月になってから」などと言い出したが、しかしそのウソはあったという間にバレたので「名前が出ているのを知ったのが今年3月という意味。日本語が乱れた」などと釈明。何言いたいのか分かんねえな。
しかも参院予算委で「テレビ朝日をディスる(批判する)わけがない。羽鳥慎一アナウンサーのファン。朝の(羽鳥アナが司会を務める)モーニングショーを見るほど」などと、「わけのわからない弁明をまくしたてた」ってさ(参考)。たしかにわけが分かんないよ。早めに閣僚(今は経済安全保障担当大臣)も議員もお辞めになっていただいたほうが・・・
ところが・・・この問題を追及していた小西洋之氏が、全く別の件で批判を浴びることに。3月29日、憲法審査会(参考)について「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」「何も考えていない人たち、蛮族の行為だ。野蛮だ」と発言。立憲民衆党は小西氏を野党筆頭幹事から更迭した。このせいで高市らへの批判が消えちゃったね。メディアっていつも、こういうつまんないことに食いついて大事なことを忘れちゃうよな。わざとやってんかな?
これについて山本太郎議員は、憲法審査会での議論を「国民が経済的に疲弊して新型コロナウイルスから立ち直れないうちに戦前の法体系に戻そうとする動きだ」「こんな姑息なルール変更をサルはやらない。本当にサルに申し訳ない限りだ」。小西氏へ「全てのサルに対する真摯な謝罪を求めたい」と語った。さすが太郎ちゃん、鋭いよね!たしかに憲法改悪しようとする奴らをサルに喩えたらサルに失礼だ。
しかし小西氏は3月の国会にて、高市氏の発言に見られるような放送法曲解を撤回し、従来通りの解釈を維持する、という答弁を得た。全面勝利ですな。もし小西氏の奮闘が無ければ、2016年の高市発言のような解釈がそのまま通っちゃったかも?
【お知らせ】
— 小西ひろゆき (参議院議員) (@konishihiroyuki) March 22, 2023
参議院で2015年以降の高市大臣答弁や政府統一見解の放送法解釈を全面撤回する総務省答弁を得ました。
政治的公平を「極端な場合の番組を含めた番組全体のバランスで判断する」と明言させ、S39年答弁の曲解、電波停止答弁も撤回させています。
後は高市大臣を辞職させれば終わりです。 pic.twitter.com/tMrE8Th2im
もちろん高市には辞めてもらわなきゃ筋が通らんが、これで終わりじゃないよ。自公政権を倒さないと。
高市って昔から変な奴だと思ってたが、礒崎陽輔ってのは何なんだろ。東大出てるってことはインテリだろ。官僚出身だろ。なのにヤクザみたいじゃん。親分(笑)からの無言のプレッシャーが怖くて焦ったのかな。「首が飛ぶぞ」とか脅かして官僚を従わせるなんて、どこぞの独裁国家じゃねえか。まあ、これが安倍政権の正体。語り継がないとね。
それにしてもねえ、小西氏のツイッターにへばりついているクソリプの数々・・・ネトウヨって「反日テレビ局から放送免許取り上げろ!」とか言ってなかったっけ?おまいらの教祖様がおまいらの期待通りの圧力をかけてたのに、なんでそんなムキになって否定するの? ・・・そういえば、普段「**人なんか、**しちまえ!」って言ってるクセに、入管の暴力や医療ネグレクトも、旧日本軍の残虐行為も、ムキになって否定するよな。ウヨってゆうかヘイターってゆうかネオナチってゆうか、そういうもんだよ。世界中どこでも。
そういえば、第一次安倍政権や麻生の頃、テレビ番組は自民党を厳しくしつこく批判していた記憶がある。それが政権交代につながったんじゃないかな。モリ・カケ・サクラへの追及は甘いように感じたが、安倍が死んだあと、統一教会の実情と自民党の関係についてはどの局もちゃんとやっていた気がする(すぐ下火になっちゃったけど)。自民党は相変わらずテレビ番組の政権批判が恐ろしいんだろうね。まあテレビに期待しないほうが、というか見ても無駄な気がするが・・・テレビ局だろうが新聞社だろうが、マスコミへの圧力は絶対許せないよ。
それにしてもねえ、放送法で言うところの「政治的公平」っていう、意味が分からんな。安倍政権が憲法解釈を捻じ曲げようとしているのを、テレビ局が朝と昼と夜のニュース番組で批判すれば、「政治的公平」を損なっているってことになるの?そもそもなんで「政治的公平」とやらを守らなきゃならんの。悪いことをしようとしている政権を、テレビ番組が批判して、何が悪いんだ?テレビ番組が政権をヨイショするも勝手だが(そういう番組には何も言わないだろうね)、批判は駄目ってことはねえだろ(笑)
安保法制は憲法違反だと、ほとんどの憲法学者が指摘していたし、そもそも常識のある人間なら分かることだ。それをなんで批判一色じゃいけないの?分かんねえ。中国とか北朝鮮とかロシアなら逮捕されちまうが、ああいう体制はおかしいって自民党の側も言ってることじゃねえの。
まあ実際、自民党の奴らの頭ん中は、それらの国々や、戦前戦中の日本のような社会が理想だろ。お上に盾突く奴はさっさと逮捕、マスコミは従わせたいんだろ。特定秘密保護法も共謀罪もそれが目的だ。だから放送法をこじつけ解釈してテレビ局を黙らせようとしたんだ。
ところでさ、安倍が生きてたらこんな重大な資料は出てこなかったかもしれないし、安倍が猛烈に否定してメディアに圧力かけまくってウヤムヤにされたかもしれない。それにしても安倍が生きてるうちは隠されていた事実が、次から次へと出てくるよねえ。うまいこと逃げやがった、って感じ(笑)
◇ 安倍政権下の内部文書か、放送の公平性巡りやりとり 立憲議員が公表
◇ 高市氏、放送法文書は「捏造」 事実なら議員辞職―参院予算委
◇ 「捏造だ」→「確認できない」高市早苗氏の答弁が迷走中 それでも国民民主・玉木氏が擁護する理由は
◇ 【再び議員辞職宣言】高市早苗が「総務省内部文書」と「奈良県知事選」で退路を断ってまで“暴走”を続ける理由と”強くて頼もしいサナエ”アピールの行方
◇ 「政治的公平」巡る放送法解釈の「変更」 礒崎陽輔氏の問い合わせが契機 総務相認める 文書の真贋は答えず
◇ 総務省が放送法の「政治的公平」を巡る文書を公開 何が問題なのか 高市早苗氏が「捏造」という記述とは【更新】
◇ 「政治的公平」に関する放送法の解釈について(磯崎補佐官関連)
◇ 立憲民主党、サル発言の小西洋之氏更迭へ 泉代表が謝罪
◇ サル発言¥ャ西洋之氏に非難相次ぐ れいわ・山本太郎氏は皮肉「サルに申し訳ない」
◇ れいわの山本太郎氏、サルへの謝罪を立民・小西氏に要求
◇ 立民・小西洋之参院議員、れいわ・山本太郎代表への懲罰動議提出を猛批判「この懲罰動議はおかしい」
◇ 日本弁護士連合会:安保法は立憲主義に反し憲法違反です