2024年01月29日

【ニュース拾い読み】(1)10.7と、それ以前

 シオニストによるガザ大虐殺についてのニュースを拾い読みしてみる。まず10.7「アルアクサの洪水」のニュースから。

◇ イスラエルにイスラム組織「ハマス」が大規模攻撃 何が起きた?
◇ ハマス、イスラエルを攻撃 「アルアクサの洪水」 ハマスとは? ガザ地区「天井のない監獄」|ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal

 ハマスによる大規模な攻撃は2023年10月7日午前6時半頃に始まった。このニュースを聞いた瞬間、恐ろしいことになったな、と感じた。
 イスラエルのガザ攻撃は度々繰り返されてきたが、まず小競り合いがあり、双方がロケットorミサイルを撃ち合い、やがてイスラエルによる大規模な空爆と地上侵攻、ガザ市民虐殺・・・という経緯だったと記憶している。つまり発端だけ言えばどちらかが自制すれば大規模な戦闘に至らなかったのではないか、というケースが多かったのではないか?
 しかし今回はハマスが始めた攻撃だった。時間をかけて周到に準備した作戦のようだが、イスラエル側は全く察知していなかったという。しかもエジプトからの警告を無視していたようだ。

◇ エジプト、ハマス攻撃を3日前にイスラエルに警告=米下院外交委員長 - BBCニュース
◇ ハマス侵攻許したイスラエル政府に批判「この惨事は、ある人物に明確な責任がある」


 ハマス襲撃によるイスラエル側の犠牲者は約1200人(イスラエル側の当初発表は1400人だった。後述するが10月7日のコンサート会場でイスラエル軍の銃撃によって亡くなった人々も多いようだ)、そしてハマスは約200人を人質にした。
 この打撃に侵略国家イスラエルが黙っているわけがない。世界中が危惧したように大攻撃を始め、ガザ人民2万人以上を虐殺しても未だ手を緩めようとはしない。
 もちろん俺が、シオニストに武力で抵抗する組織に、シンパシーを感じないわけがない。パレスチナ人民は1948年から続くシオニストの侵略によって苦しめられている。シオニストの最終目標はパレスチナ人完全追放だ。民族浄化だ。ナチスドイツとどこが違うのか。こういうナチスどもに武力で立ち向かおうことを誰が非難できるか?(しかし俺はそれでも、別の手段を選ぶべきだと思うが)。
 しかし残念ながら両者の軍事力には天と地ほどの差がある。ハマスは迎撃ミサイルの一つも持ち合わせてないだろう。しかも敵は、虐殺国家イスラエルだ。「天井のない監獄」に肩を寄せ合って暮らす人々が犠牲になるのは明らかだ。だからハマスがなぜこうした行動に出たのか、未だに理解できない。
 それに・・・民間人が一切巻き添えにならない軍事行動はあり得ないだろうが、最初から民間人を標的にするのはどういうことか。人質を取ることも、言いたくないが言ってしまおう、卑劣だと。だから俺はハマスという組織は支持できない。たしかにイスラエルは何千人ものパレスチナ人を不当に拘束しているが、同じことをしてしまえば、欧米の帝国主義やシオニストを非難できなくなるではないか。
 それにしても将来のある若者たちがハマスという組織に結集し、命がけの戦闘に臨んでいるのは、申し訳ないが俺には理解できない。パレスチナの現状を理解していないせいだろうか。

◇ ハマス戦闘員のカメラが捉えた10月7日の映像、イスラエル軍から提供 CNN EXCLUSIVE
 「アラーアクバル!」と叫びつつ、車やバイク(ノーヘルで二人乗り)で進む若者たち。自撮りする若者は自ら名乗り、24歳で父親だと語った。さらに移動し、基地に向かって銃撃したが撃ち返され・・・彼の子は父親を失った。


 10月6日夜半からイスラエルの「レイム」という街の近郊で音楽祭が行われていたが、ハマスの襲撃を受けて出動したイスラエル軍が観衆とハマス戦闘員の区別をせずに発砲したことによる犠牲者も多かったようだ。



 もちろんハマスによる犠牲者も多いだろう。ドイツ系イスラエル人のシャニ・ルークさん(Shani Louk)という女性はハマスに連行され晒し者になり、その後死亡が確認された。
◇ イスラエルの野外音楽祭、ハマスの攻撃で騒然 死傷者の映像も - CNN.co.jp
◇ スーパーノヴァ・フェスティバルって何?ハマスは仮庵祭を狙ったか? | MediaRoom
◇ 【分析】 音楽フェスが虐殺の場に、映像やSNSから分かること ハマスのイスラエル奇襲 - BBCニュース
◇ ハマスに連行されたドイツ系イスラエル人女性の死亡確認






 それにしても、言うべきではないかもしれないが、大音響で欧米の音楽を流すのはまだしも、音楽に合わせて踊るシャニ・ルークさんら女性たちの服装はどうだろう。もちろん素肌を晒すこと自体が悪いと言うつもりはないが、現場の「レイム」という街はガザとの境界線のすぐそばだ。イスラム教では男性も女性も肌を露出することは禁じているだろう?しかもガザ地区はイスラエルの封鎖が続き、たびたび虐殺が行われている。捕えられたハマス戦闘員は「コンサートのことは知らなかった」と語ったそうだが、それは彼が知らされていなかっただけではないか。組織から伝えられなくても、ネットを見れば出てくるだろう。それに普通のコンサートではなく、一晩中酒を飲んで(あるいはトリップするような薬を飲んで)踊り騒ぐイベントだろ。ハマスの標的にならないわけがない。

 だからシャニ・ルークさんの犠牲は致し方ない、などというつもりは全くない。どこにでもいるような、快活で目立ちたがり屋の22歳の女性の死を悼む。ハマスのトラックに乗せられガザ地区で晒し者にされた彼女は全裸に近いような姿で、右膝は不自然な方向に曲がっている。あるいは既に絶命していたのかもしれない。
 民間人を拉致してガザの街で晒し者にするハマスも理解できないが、彼女に近寄って唾を吐きかける少年の姿もショッキングだ。ガザ市民にとってたとえ兵員や官憲ではなくてもイスラエル人なら、これほどの憎悪を向けてしまうものなのだろうか。これも恐らく俺の理解が根本的に足りないのだろう。
 それにしても、自撮りをしていたハマスの戦闘員もいまどきの若者だから、その映像をネットに流すつもりだったのかも。殉教覚悟の作戦に赴くシーンではなく、青春を楽しむ姿をネットに流す未来が彼にもあったはずだ。なぜ彼らの未来が奪われなければならなかったのだろう。


 マスコミの報道では、まるで2023年10月7日のハマスによる攻撃が対立の発端のような錯覚に陥るが、これはシオニズム国家イスラエルが1948年から始めて、今でも続いていることだ。パレスチナ人民を虐殺し追放し、難民キャンプ生活を強い、分離壁と検問で生活を阻害し、ガザ爆撃・侵攻を何度も行い、ヨルダン川西岸でも些細なことで市民を狙撃し、大勢の市民を長期間拘束し、軍に投石しただけの少年を何年も拘束し、国際司法裁判所の勧告や国連安保理の非難決議にも従わず入植地と分離壁を造り続け、その入植者はパレスチナ人への嫌がらせ、暴力、放火など破壊行為に余念がない。国際社会は関心が薄く、しかもシオニストの最大のパトロンは、最悪のテロ国家アメリカだ。

 こうしたシオニストの蛮行が、ハマスによる越境攻撃を招いたのだろう。殺害されたイスラエル市民もシオニズムによる被害者だと言える。しかし嘆かわしことにほとんどのイスラエル人はこうした経緯を無視し、自分たちこそ被害者だと称し、パレスチナ人への憎悪を募らせている。
 もっとも、9.11攻撃直後にはブッシュの支持率が90%に達したというアメリカや、一億総ヘイターだった戦前戦中の日本の状況(両国とも今でも似たようなもんか?)を思い出せば、不思議ではないことを理解するべきか。俺には受け入れがたいが。
 どんなに強大な支配者も、戦争を始めるには、差別で統治を強化するには、民衆への扇動が必要だ・・・差別と戦争は民衆から始まる・・・というのはよく聞く。

 それにしてもイスラエルが、ハマスをガザ地区へ追いやった時点で戦闘を集結させていれば、国際社会の同情も得られたのではないか。愚かなことだと思ったが、それではネタニヤフ政権がもたないだろうな。
 (つづく)



・・・以下、10.7以前のシオニストの蛮行についてのニュースをかいつまんで貼り付ける。

(2005年7月11日)イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:私たちは「壁」建設の即時中止と原状回復を求めます : アムネスティ日本 AMNESTY

(アップロード日付不明。2004年?2005年?)ザ・フューチャー/国際法インサイト
 2004年7月9日、国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルによるヨルダン川西岸と東エルサレムでの分離壁は国際義務に違反し、ただちに撤去されなくてはならないという「勧告的意見」を示した。さらにその分離壁がイスラエル人の入植地をたどるように湾曲している点を踏まえ、入植地が国際法に違反して設定されていると指摘。7月20には国連総会がICJの勧告的意見を支持した。国際法もなにも、シオニストがパレスチナの地に居座っていること自体が侵略だ。

(2008年11月4日)イスラエル、東エルサレムで分離壁建設中 パレスチナ側は反発 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

(2015年3月27日)イスラエルとパレスチナの分断を加速させる分離壁と入植地 | アーユス仏教国際協力ネットワーク

(2016年12月24日)国連安保理、イスラエル入植地非難決議を採択 米国棄権 - BBCニュース

(2019年11月19日)米、ユダヤ人 入植容認 ヨルダン川西岸「国際法矛盾せず」:東京新聞 TOKYO Web 
 トランプ政権(当時)は、1978年以降の「入植活動が占領地の地位変更を禁じたジュネーブ条約などと矛盾する」とした立場を転換。

(2020年11月12日)オリーブ巡る争い増、パレスチナ 昨年より被害拡大、コロナも影響

(2022年4月11日)イスラエル軍、パレスチナ人女性2人を射殺 緊張高まるヨルダン川西岸

(2021年7月10日)イスラエル人の入植、「戦争犯罪に匹敵」=国連人権報告者 | ロイター


(2023年2月21日)安保理議長声明、イスラエル入植に「失望」 米国も同調 - 日本経済新聞
 バイデン政権になって、入植地については従来の見解に戻ったようだが・・


(2023年3月9日)「史上最も右寄り」イスラエル新政府の影響か、ヨルダン川西岸で対立激化 ユダヤ人入植者が放火「戦場のよう」
 「入植者の集団が車や店に火を付けて回り、戦場のようだった。今までこんなことはなかった」
 「イスラエル軍は止めもせず、むしろ入植者を守っていた。消火に来た消防車も放火された」
posted by 鷹嘴 at 14:11| Comment(0) | TrackBack(0) | パレスチナ情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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