◇ TBS報道番組にイスラエル大使が大激怒『これは何だ?』連呼 ネット上では「国際問題」「子に罪はない」:中日スポーツ・東京中日スポーツ
その模様がこちら。
重信メイさんさんはいかなる犯罪にも関与してない。母親と娘は別人格。
— 🇵🇸🇯🇵 Thoton Akimoto (@AkimotoThn) October 13, 2023
母親の重信房子さんはテルアビブ空港での銃乱射に関与していない。関与したのは日本赤軍の前駆的組織「アラブ赤軍」。
重信房子さんはハーグ事件への関与で有罪となったが、罪を償い出所しており、これ以上の責任は問われない。 https://t.co/fMv4XLPBgy
ロッド(リッダ)国際空港(当時)を襲撃したのはPFLP(パレスチナ解放人民戦線)指揮下の作戦に日本赤軍の3名が参加した。重信房子は作戦に関与していない。母親はハーグ事件の共謀共同正犯で起訴され刑期を終えた。娘メイは襲撃を支持していない。親子別人格でTV出演も問題ない。事実関係は正確に。 https://t.co/qKD2flPU0S
— アジア記者クラブ(APC) (@2018_apc) October 13, 2023
動画の中で彼が言うには、重信メイさんの母の重信房子さんは、1972年にロッド空港(現在のベン・グリオン空港)で乱射した人物なんだと。そんな者の娘を出演させるTBSは何事か!と、激おこぷんぷん丸である!
テルアビブ空港乱射事件・・・要するにリッダ闘争に決起したのはPFLP(パレスチナ解放人民戦線)の「パトリック・アルグレロ隊」・・・つまりは奥平剛士さん、安田安之さん、岡本公三さんの3名なんですけど。重信房子さんは関与してないんですけど。こんなのググれば3秒で分かるはずだけど?仮にもイスラエルの大使だろ、知らないわけねえだろ?
◇ 重信母娘を「テロリスト」と呼ぶイスラエルの侵略者 ── ウクライナ戦争と比べてみれば、侵略者の傲岸な様相がわかる 横山茂彦 : デジタル鹿砦社通信
■ もしかして動画の説明と字幕の誤訳かもと思ったが、俺に英語が分かるわけがない(笑) 英語で必死に喋ってるのに申し訳ないっす。だけど「コーゾーオカモト」とか「ペングリオン」とか言っているのでリッダ闘争のことを言っているのは確実だ。
ところでググってみたらG氏、2022年に重信房子さんが釈放されたときも、こんなことを言っていた。もちろん日本語が出来る職員が代筆したんだろうけど。
冷酷な殺人犯である重信は、24人の罪のない民間人の殺害という残虐行為を自省しないばかりか、事件発生から50年経ってもなお、この恐ろしい出来事を正当化しようと努めています。さらには被害者の一人である科学者に関して、死に値したと仄めかしています。
— Gilad Cohen 🇮🇱🎗️ (@GiladCohen_) December 28, 2022
自己を恥じるべきです。 pic.twitter.com/oQuzJcAphw
何の事件のことを言っているのかな。科学者というのは、アーロン・カツィールという人のことらしい。リッダ闘争のときに死亡したという。
◇ 「普通の青年」か「カリスマ」か 日本赤軍メンバーを巡る二つの記憶:朝日新聞デジタル
毎日新聞に釈放された当時の重信房子さんのインタビューが掲載されて、この科学者について言及していたようだが、有料記事だから途中までしか読めない。ところがスクショを見つけた!
アーロン・カツィールは戦前にポーランドからパレスチナ委任統治領へ移住したユダヤ人で、生体膜の生物物理の先生です。生物化学の人でもなく、兵器研究の人でもない。そもそも死者の過半はプエルトリコ人のキリスト教徒で、聖地巡礼に来た人たち。記事は事実関係を確認しない毎日新聞の責任です。 https://t.co/O9XszSdIl0
— buvery (@buvery) December 29, 2022
ああそうなんですか、軍事研究の人じゃなかったんですか。それはともかく、G氏は上記のツイートで述べたかったのは、やはり重信房子さんがリッダ闘争に参加していた、ということのようだ。
ちなみに記事もあった。
◇ 「テロを美化」 駐日イスラエル大使、重信房子氏に反論 | 毎日新聞
ここではG氏は、重信房子さんがリッダ闘争に関与したようなことは言っていないけど。しかし「冷血なテロリスト」って、どっちのことを言っているのかな。それに余計かもしれんが、当時は「日本赤軍」という名称は使われてなくて、ただ「赤軍派」と呼ばれていたみたいだぜ。
■ ところでこの田原牧さんの記事によると、
◇ (3ページ目)「重信房子は自分の『女』を利用する」日本赤軍元リーダーが「魔女」と呼ばれた理由 | 文春オンライン
重信さんはレバノンに渡航するための目的で奥平さんと入籍したが、重信さんや赤軍派のリッダ闘争への「関与はないに等しかった」。俺には難しくて分からんが、二人は最初から路線が違っていた。PFLPでも別の部門に振り分けられた。
檜森孝雄さんの遺稿集『水平線の向こうに』には、「(奥平が)赤軍派の路線やスローガンを口にしたことは一回もなく」・・という回想があり、連合赤軍だった青砥幹夫さんも「赤軍派の匂いがしないと思った」と語った。それに重信さんは、リッダ闘争の頃、奥平さんとは別の人物の子(メイさんのことか?)を宿した。
その後、重信さんは「リッダ闘争を実行した日本赤軍」の最高幹部として祭り上げられていくのだが・・・この記事のネット掲載は途中までだから図書館で読んでみた。『水平線の向こうに』には「日本赤軍は重信の私兵だった」という桧森さんの回想もあるという。(この本は持っているけど何しろ分厚い本だ。そのうち探してみる。この投稿は重信さんの人物像や日本赤軍の実像を追うものではないからね)
奥平さんは作戦の前に重信さんに「退路を断った闘いに行くつもりだ。あとはまかせるから。頼む」と告げた。連合赤軍事件に大きな衝撃を受けた重信さんにとって、自分を犠牲にするような作戦には賛同できなかった。しかしPFLPに意見するも「作戦の内容は教えられないが、そのような闘いではない」としか伝えられなかった。(日本赤軍私史 パレスチナと共に 重信房子/著 河出書房新社 P-121)
G氏には残念だが、どうやら重信さんは蚊帳の外だったようだ。
そもそも重信メイさんがテレビに出演して何が悪いのか。重信房子さん自身が出演しても、あるいはイスラエルを攻撃した当事者自身が出演してシオニストを批判しても、何もおかしいことはない。G氏の憤りは全く意味がない。
■ ところで2023年5月27日、日本キリスト教会館にて「リッダ闘争51周年記念集会」が行われ、重信房子さんが発言した。断片的に引用する。
リッダ闘争については、「パトリック・アルグレロ隊」の3名が自動小銃を乱射したことによって民間人が犠牲になった、と言われているが、実際にはイスラエル警備兵による「クロスファイア」による犠牲も多かった、と語った。
空港の2階部分からやってきたイスラエル警備兵は、ロビーにいた岡本さんたちに向かって、つまり上から下に向かって撃っていたらしい。しかし事件後に現場に残っていたのはイスラエルの官憲だけ、実際の状況が明かされるわけがない。
この件について重信房子さんの著書から引用する。事件後にPFLPは、警備兵の銃撃こそ多くの犠牲をもたらしたとして調査をするべきだという声明を発した。「パトリック・アルグレロ隊の弾丸と種類が違うはずだ」。
ヨーロッパからPFLPの事務所へボランティアで来ていた人々やジャーナリストも、「この闘いはイスラエルの占領問題、パレスチナ人に対するナチス並みのイスラエルによる弾圧抜きには語れないという点を、いくつもの欧州の新聞は明らかにしている」「日本人戦士らが弾丸を撃ち尽くして戦士するまでの間、彼らをターゲットにできなかったイスラエル警備兵は何をしていたんだ。つまりあわてた警備兵は誰が『犯人』か分からなかったのだ。(イスラエル警備兵が)無差別な反撃をして、民間人を殺したのは明らかではないか」「国連に調査を呼びかけるべきだ」と議論していた。しかしヨーロッパのNGOの調査受け入れをイスラエルは拒否した。(戦士たちの記録 パレスチナに生きる 重信房子/著 幻冬舎 P-201〜202)
岡本公三さんは捕虜交換で釈放された後のインタビューで、「訓練した我々三戦士が、計画通り警備兵を撃ち、慌てた警備兵が旅行客に向かって無差別に撃ち返した」「我々が想定していた以上に、慌てたイスラエル警備兵の出鱈目な射撃による死傷者が大半だった。しかし、今僕がそう証言しても、自己弁護にしかならない」(日本赤軍私史 P-121)と語る。
ハワイ大学教授のパトリシア・スタインホフ氏も後に現場を訪れた際、まだ銃撃戦の痕が残るロビーには「ものすごい数の警備兵」がいて、「狭いバルコニー」にも「武装した警備兵が立っていた」と、クロスファイアによる犠牲を示唆した。「まるで(三人の戦士だけが)全員を殺したように語られたが、誰も調べなかった」「事件後、現場を掌握していたのはイスラエル人だけであり、イスラエルの警備兵によって誰かが撃たれた可能性を示すことは彼らイスラエルの利益にならないからです」(戦士たちの記録 パレスチナに生きる P-201〜202)
三人の戦士の銃弾がイスラエル警備兵だけに届いたとは思えないし、イスラエル警備兵が三人の戦士だけに照準を定めていたとも思えない。少なくとも三人が銃弾を撃ち尽くすまで、警備兵が奥平さんと安田さんを殺害することは出来なかったではないか。銃撃戦の中で双方とも民間人を犠牲にしてしまった、と考えるのが自然だ。しかも状況的に、パニックになった警備兵の「出鱈目な射撃」による犠牲者が多かったのではないかと思われる。昨年10月7日のレイム音楽祭事件と同様、民間人犠牲の責任を全て敵側に転嫁するのはシオニストの常套手段のようだ。
昨年5月27日の集会の話に戻るが、重信房子さんは、「リッダ闘争を(PFLPの闘争として)支持する」と述べた。たしかにこれは侵略者イスラエルに対する軍事行動だ。丸岡修さんは、「リッダ空港はパレスチナ側から『交戦地域』の警告がなされていた。イスラエルは、民間空港であるレバノンのベイルート空港をも爆撃していたからだ」と指摘している(日本赤軍20年の軌跡 株式会社話の特集 P-171)。リッダ闘争を非難するなら、全世界の全ての軍事行動を非難しなければならない。ましてや、巻き添えや誤爆どころか、意図的に民間人虐殺を続けるイスラエルが非難できることではない。リッダ闘争の死者は26人だが、イスラエルはパレスチナ人を何百万人虐殺すれば気が済むのか。「冷血なテロリスト」はイスラエルである。
(繰り返すが俺は、民間人が犠牲にならない軍事行動はあり得ないという点からも、侵略と抑圧を受けている立場からの軍事行動についても、安易に賛同したくはないが・・・実際には抑圧者を実力で倒さなければ生存を脅かされる場合が多すぎるわけで・・・これについては自分の中で整理してから言うことにするか。 つづく)