分厚いテキスト(法令編71ページ、技術編496ページ)を8月に受け取った時はめまいを感じた。こんなの理解すんの1年はかかるぜ?「考査」もあるらしいし、どうすりゃいいんだこりゃ?一応目を通してみたが、もちろん知らないことばかり。だいたいわずか3日間でどんな講習やるつもりなんだか?しかし前の会社でボイラーの資格すら取ってない先輩2名もこの資格取れたんだから、なんとかなるんじゃねえか・・・という甘い期待にすがる俺(笑)
そういうわけで30分以上もチャリを漕ぎ、さいたま市役所の裏手にある「ときわ会館」に到着し、受付を済ませて入場するとすでに多くの受講生が集まっていた。100人以上はいたと思う。最初に係員から3日間の予定と、最終日の「考査」について説明が行われた。2時間32問(4択)で、なんと2冊のテキストは持ち込み可(ノートは駄目)なんだって!こりゃサルでも受かるなと一安心。合格ラインは正解70%、合格率は8割から9割で、滑っても後日「再考査」が1回だけ行われるという。
しかも講師(分野によって違う人)がみんな、「この部分、皆様にとって重要な部分だからチェックして下さいよ!」と教えてくれる。隣のオッサンのテキストなんか付箋紙とマーカーでゴテゴテになっていた。
しかし睡魔との闘いは辛かった。うっかり寝ちまって「重要な部分」を聞き逃したらどうする?夜勤ばっかでなまった身体には、9時から机に向うのはマジしんどかった。ってゆうか仕事してる方が全然楽だよな。非常電源装置など電気関係の話は楽だったが、避難器具とか感知器の方は知らん話ばかりなんでヤバかったぜ。もちろん法規もね。事前に少しは予習したんだがあんまし役に立たなかったな。
特に火災受信機の「蓄積時間」に引っかかったぞ。
「感知器からの火災信号又は火災情報信号を検出してから、検出を継続し、受信を監視するまでの時間」
テキストではこう説明されているがさっぱり分からん。講師の話だと、感知器が信号が届いてもタバコの煙に反応したのかもしれないので、少し待ってから判断する、ということらしい(感知器にもこいう機能がついているものもあるんだって)。
とにかくテキストは堅い文章ばっかりで理解するだけでも大変だし、この分厚いページの中からどこが出るか分からんし、予習しても空振りする可能性が高いだろう。
つーか法規には危険物の問題も出たので、俺みたいに危険物乙種四類取った人間には楽勝だけど、勉強したことない人は戸惑うだろう。この部分はあらかじめ理解しておくべきだな。
ま、「考査」はテキスト持込可だから楽勝だよなと高を括っていたが、そーでもなかったぞ。
かなり悩んだのが蓄電池の電解液比重の測定値補正方法の問題。
D20 = Dt + 0.0007(t−20)
t : 測定時の液温
Dt : 測定した比重
D20 : 標準温度(20℃)における比重
こういう式があるんだが、選択肢を見て悩んだ。
2:「30℃の時の測定値は、標準温度(20℃)の時より0.007大きい」
4:「10℃の時の測定値は、標準温度(10℃)の時より0.007小さい」
これ、どっちも正解じゃねえかと悩んだ。
つーか冷静になって上の式を展開してみたら、
D30 = D20 − 0.007
D10 = D20 + 0.007
こういうことになる。要するに、
30℃の時は20℃の時より比重が小さく、
10℃の時は20℃の時より比重が大きくなるんだな。
結局、
1:「30℃の時の測定値は、標準温度(20℃)の時より0.007小さい」
これが正解だったのさ。つーか温度が上がれば膨張して比重は小さくなるのは当たり前だわな。
また法規の問題では、
「進入口の記述について誤っているものはどれか?」
という問題に、
「●非常用エレベーターが設置されていれば、(消防隊の)進入口は必要ない」
という選択肢があった。エレベーターが停電で止まったらどうすんだよと思い、×にしようとしたが、テキストを読み返してみると、これは正しいことに気付いた。
建築基準法第126条の6と7に説明がある。
要するに3階以上で31m以下の部分の階には、40mごとに進入口を設けよ。但し非常用エレベーターがあったり窓が大きい場合は免除する、という意味。これ、各階に設けろということだよな?40mっつーのはどう考えても高さじゃなくて水平の長さのことを言ってるよな?この問題もクリアしてれば、多分全問正解だと思う。
それと違う問題には、
「耐火構造の壁に開口部があっても非常排煙設備がついていれば、その壁の両側とも独立した防火区画とみなす」
なんて選択肢があって一瞬悩んだが、この記述では意味が無い。
排煙機のダクトが防火区画の壁を貫通している場合、煙の温度が高くなれば溶断するヒューズ付きの防火ダンパーを設置しなければならないってこと。(つまり、他の防火区画に延焼するのを防ぐ目的)
「漏電火災警報器の変流器は主開閉器の二次側に設ける」なんてベタベタな選択肢もあったな。うまく説明できねえけどこういうのは一次側に決まってんじゃん。そのブレーカーが供給する部分の漏電を監視し遮断するのが目的だからな。
***余談だけど、漏電火災警報器ってのは壁や天井の下地に「メタルラス」(金網)が入っている場合に必要なんだってさ(漏電すると金網が過熱することがあるらしい)。普通の漏電遮断器があれば事足りると思うけど。で、講義の時に「漏電遮断器の設置基準とは?」という質問が出たけど講師も答えられなかった。俺も分からん。単純に考えれば厨房みたいに水気のある場所とか、業務用の冷蔵庫とか冷水器に設置すればいいんじゃないの?(→法令)***
で、ここの部分も講師が「変流器を設置するのは二次側じゃなくて一次側ですよ、ここ重要ですから憶えてね!」と予告していた。予告があった部分は全部出たと思う(問題用紙を没収されたんで確認できないが)。多分、講師自身が問題も作るんじゃねえか?
たった3日間の講習で「考査」に合格させるために、テキスト持込を可とし、講師が事前に出題される部分を教える。こういう儀式の費用が3万3000円、というわけだ。もっとも大抵は俺みたいに会社に命令されて来た人だと思う。講習料は会社持ちのはずだ。
アホ臭いと思うが、考えてみりゃマジで勉強しなきゃ受からない電気工事士だってボイラー技師だって、持ってるだけじゃ何にもできねえからな。俺なんか一種電気工事士まで取っちまったが、電柱に登ったことなんかねえよ(笑)出来るのはせいぜいコンセントやスイッチの交換ぐらいだ。仕事しながら実地で憶えなきゃ技術が身に付くはずがない。それに法規だってテスト終われば脳内の記憶した部分がすぐ上書きされちまうからな(笑)
だからこういう資格なんか意味ないと思うが、この国で暮らしていくためには、この国のしきたりに従うしかないってことだね。つーかこの程度じゃ給料には反映しないと思うけど、誘導灯点検とかやらされると思うと鬱だなw
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