妊婦:16種の魚や鯨、貝食べ過ぎないで 水銀胎児に影響
厚生労働省薬事・食品衛生審議会の乳肉水産食品部会は12日、妊婦などに対し、クロマグロなど16種類の魚や鯨、貝などを食べ過ぎないよう呼びかける注意事項案をまとめた。食べ過ぎると、これらに含まれるメチル水銀が、胎児の発達に影響する恐れがあるためで週何回まで食べても心配ないか目安を示した。
1回に食べる量を80グラムとした場合、キンメダイ、クロマグロなど7種は週1回まで、クロムツやマカジキなど7種は週2回まで心配ないとした。
日常的に制限を超えると、さまざまな絵を見せて物の名前を言わせるテストで正解率が少し下がるなど、生まれた子供にごく軽い発達障害が生じる心配がある。水俣病のような重い障害が出るのは、制限を100倍程度超えた場合で、通常はありえないという。
同省は03年6月に、キンメダイなど7種について摂食制限を呼びかけたが、今回は種類を増やし、制限も厳しくした。政府の食品安全委員会が7月、妊婦などが摂取を続けても心配ないメチル水銀の量(耐容摂取量)を「体重1キロあたり1週間に2・0マイクログラム」(マイクロは100万分の1)と定め、従来の3・4マイクログラムから厳しくしたのに対応した。また、より生活実態に即した形で水銀摂取量を計算し直し、前回は対象から外したマグロ類を含めた。
厚労省は「魚は不飽和脂肪酸などを多く含み、健康によい食べ物」としており「妊婦は魚を食べるなというわけではなく、水銀濃度の高い魚を食べ過ぎないように、との趣旨」と説明している。
一方、今回の注意呼び掛けの対象を同省は「妊娠している方、または(気づいていないが、実際は)妊娠している可能性のある方」とした。米国や英国、オーストラリアは「妊娠を予定している女性」も対象としている。
食品安全委員会の調査会で座長を務めた佐藤洋・東北大教授は当初、「妊娠の1年前から」要注意とする原案を示した。しかし「子供がほしい女性の食卓から魚が消える恐れがある」との意見が出て、「1年前」の記述は削除された。佐藤座長は「大多数の女性は妊娠後の注意で十分だ。しかし日常的に水銀濃度の高い魚を多く食べ制限を大きく超える女性は、できれば妊娠前から注意する方がよい」と話す。【高木昭午】
<妊婦の魚制限>
【注意すべき魚などと、食べてよい回数】
(1回80グラムとした場合)
<2カ月に1回まで>バンドウイルカ
<2週間に1回まで>コビレゴンドウ
<週1回まで>キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ
<週2回まで>キダイ、クロムツ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ
*週に2種類、3種類を食べる場合は、それぞれの量を2分の1、3分の1などに減らす
毎日新聞 2005年8月12日 20時26分 (最終更新時間 8月12日 21時29分)
この件についての厚生労働省の通達は↓こちらです。
「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて(平成17年11月2日)」
この通達は2003年の「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項 平成15年6月3日」より厳しい警告になり、クロマグロやミナミマグロなども警告の対象に含まれました。この比較表を作成してみました。
しかし・・・これはあくまで「妊娠している方又は妊娠している可能性のある方」への警告に止まっていますが、
「各国の注意事項の比較」によると、「すべての人」を警告の対象としている国もあり、また摂取量の基準も日本より厳しいものになっています。たとえばカナダの2002年5月の通達では、「メカジキ、サメ、マグロ」の摂食に関して、「すべての人」に対して「週に一食とすべき」と警告し、また「幼児、妊娠可能年齢の女性」に対しては「月一食とすべき」としています。
非加熱製剤にせよアスベストにせよ、日本政府の対応は常に後手後手に回り、多くの国民の生命が奪われてきました。この通達の中で「報道等にあたっては、いわゆる風評被害が生じることのないよう御配慮方よろしくお願いします」などとしつこく記している厚生労働省の今回の対応も、不十分なものではないかという疑念を拭えません。我々は食品の安全性について敏感にならざるを得ないようです。
(NC4未来ボードより転載。ちょっと直し)