公的な謝罪、賠償、正しい歴史教育、「慰安婦問題が存在しないとする主張に対する公式な否定」などを要求する厳しいものになっている。
◆欧州議会が慰安婦非難決議 「20世紀最大の人身売買」 (魚拓)
◆ヨーロッパ議会も「慰安婦決議案」を採択
◆慰安婦決議の要旨 (魚拓)
ところで読売はまたしても社説で頭の悪いことを書いている。
◆慰安婦決議 欧州での連鎖反応が心配だ(12月15日付・読売社説)
有名なスマラン事件を取り上げ、どこをどう解釈したらそんなことが言えるのか呆れるが「日本軍の組織的な強制連行では無いことを示す反証」と述べている。(抜粋)
第2次大戦中、日本がオランダ軍を追い払い軍政を敷いたインドネシアでは、収監されていたオランダ人女性が、日本軍兵士によって連行され、強制的に「慰安婦」にされた事件もおきている。そもそもこの慰安所が閉鎖されたのは、自分の娘を連行されたオランダ人抑留者のリーダー格の者が、たまたま視察に訪れていた陸軍省俘虜管理部員との面会を苦心して取りつけ、抗議したからである。
事態を知ったジャカルタの軍司令部は問題の慰安所を直ちに閉鎖し、女性たちを解放した。
遺憾な事件であったが、軍が組織的に慰安婦を強制連行したのではないことを示す「反証」でもある。
事件に関与した将校らは、戦後、オランダの軍事法廷で「BC級戦犯」として裁かれている。
この管理部員はすぐさま陸軍省や第一六軍司令部に通報し閉鎖を勧告した。この告発と、管理部員の素早い対応が無ければ、この慰安所は閉鎖されなかっただろう。
実際に連行を指示したのは現地の部隊(南方軍幹部候補生隊)だが、第一六軍司令部から抑留所の女性を慰安婦にする許可を得ていた。司令部からは本人の了承を得るようにとの注意があったそうだが、都合よく「ジャップ」の性のはけ口になることを望む女性がいるだろうか?司令部は連行を承認したも同然である。
それこそ兵士数名が勝手に女性を拉致して強姦していたのならば「組織的」とは言えないだろう。しかし少佐、大尉といった将校らが共謀して行ったこの事件は、日本軍の組織的な犯罪であることは言うまでもない。
戦後のオランダの軍事法廷では、陸軍中将、大佐など高級将校らも有罪判決を受けている。日本軍という「組織」に強制連行の責任が問われて当然である。
それにスマラン事件は日本軍による強制連行の一例に過ぎない。日本の司法も強制連行の事実を認めている。
今年の4月、中国人の元慰安婦の戦後補償裁判で最高裁は不当な判決を下したが、 一審、二審、最高裁とも、日本軍が原告の女性を「連行、監禁、強姦(ごうかん)した事実」は認めている。(参考)
昨年8月の海南島戦時性暴力被害訴訟の東京地裁判決も不当なものだったが、 判決要旨によると原告の主張は「大筋においてこれを認めることができる」となっている。
今回の欧州議会の決議にはもちろん法的拘束力はないが、せめて日本政府は、読売社説のような「慰安婦問題が存在しないとする主張」に対し、「公式な否定」を行ってほしいものである。