「調査捕鯨」は、財団法人「日本鯨類研究所」が「共同船舶」という企業に委託して行われていますが、その「日本鯨類研究所」の統計によると、鯨肉の販売収入は2004年度(04年10月〜05年9月)をピークにして減収傾向にあります。
04年度 71億円
05年度 67億円
06年度 54億円
05年度に捕鯨頭数を440頭から850頭に拡大しましたが、その一方で平均20%の値下げをしたところ、このように減収となってしまったのです。売れ残りの山を抱えるのを恐れたのかもしれませんが値下げが仇になったのです。しかも船舶数が増えたためコストは10%上昇しました。このため「日本鯨類研究所」の資金繰りが悪化し、国への依存が強まったのです。
06年度、この「日本鯨類研究所」は農林水産省の所管の「海外漁業協力財団」という財団法人から、36億円の無利子融資を受け、年度末に返済する予定でした。しかし経常赤字7億円を抱えたため、10億円分を07年度から4年間の分割返済にしてもらったそうです。
ちなみに01年度から06年度までの無利子融資は合計154億円に上ります。利息なしにこれほどの金額を貸すのは実に不思議な話です。
しかもこの無利子融資の原資の一部は国からの補助金です。「海外漁業協力財団」は、農林水産省から12億円の補助金を受け、「日本鯨類研究所」も農林水産省から直接、補助金5億円、調査受託4億円を受けていました。
つまり「日本鯨類研究所」は、06年度だけでも国から9億円の補助金及び報酬と、12億円分の無利子融資を受けていたのです!
また、実際に捕鯨を行っている「共同船舶」とは、大洋漁業など3社の捕鯨部門を統合した企業でしたが、それらの大手水産会社は捕鯨反対運動の対象となるリスクや採算性などから06年に撤退し、現在では「農水省所管の五つの財団法人に全株を売却、事実上の国策企業になっている」そうです。
このように「調査捕鯨」という名目の商業捕鯨は、無駄かつ有害な国策事業であることはこの記事を読めば理解出来るのですが、次のような当たり障りの無いコメントで締めくくられています。
「さて、調査捕鯨。日本がクジラを捕る権利や、食べる権利もあると思う。一定の調査も必要だろう。でも、課題が山積みする日本政府にとって、優先順位が高い政策だろうか。郵政も民営化された時代だ。国民が本当に欲している政策なのかどうか、原点に立ち返って考えたい」
優先順位云々を論じるまでもなく、「国民が本当に欲している政策なのかどうか」顧みるまでもなく、今すぐ廃止すべき税金の垂れ流しです。
もっとも、国民にアンケートを行えばどのような結果になるか分かりません。呆れたことに社民党や日本共産党にも商業捕鯨賛成派がいるそうです。両党にこのような愚かしいナショナリズムに囚われた議員がいることを嘆かわしく思います。
このような国内世論に反し、世界各国から抗議が集中していることは周知のことです。グルーンピースに続いてシー・シェパードの抗議船も燃料切れのため帰還することになりましたが、オーストラリアの港では歓声に迎えられたそうです。
シー・シェパードが薬品を投げつけた行為は物議を醸していますが、彼らやグリーンピースの活動によって捕鯨が一時中断に追い込まれたのも事実です。環境テロ国家の一国民である私もネットで騒いでいるだけでなく、せめて水産庁に抗議FAXを送りつけるぐらいはしてみるつもりです。「陸海空いろんなところから」どこでも抗議しましょうw
(関連)
◆調査捕鯨、懐もピンチ 国からの融資10億円返せず (魚拓)
■第20回 捕鯨の伝統と食文化を守る会
■ガンバレ日本!捕鯨再開。
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