普天間移設、米が「沿岸案」拒否へ 辺野古沖縮小が焦点
2005年10月20日06時14分
沖縄の海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設先をめぐる日米協議で、米政府は日本側が提案した「沿岸案」はあくまで拒否し、自らが主張する「辺野古沖縮小案」を月末にまとめる中間報告に盛り込むよう求める方針を固めた。ローレス米国防副次官が24日に訪日して最終決着を図る構えだ。米の意向に沿った合意ができないと、中間報告のとりまとめだけでなく、それを確認するために両国の外交・防衛担当閣僚が集まる、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の開催も難しくなりそうだ。 日米両政府関係者によると、米国側が「沿岸案」を拒否する主な理由は、施設の一部が海兵隊キャンプ・シュワブの陸上部分に建設されるため、発着するヘリコプターは普天間と同様、近くの集落の上を飛ばなくてはならない場合があることだ。運用と安全の両面で問題を抱えていると見ている。兵舎の移設という障害もある。さらに米側は、受け入れられない案を相次いで繰り出す日本の交渉態度に不信感も抱いている。 日米両政府は17日から19日まで沖縄で2案について現地調査を実施した。その結果を踏まえて、米側としては来週、ローレス氏が日本側と行う協議で、最終的な結論を得たい考えだ。 中間報告への記載について米側は、表現の細部にこだわるつもりはないものの、辺野古沖縮小案で合意したことが明確に分かるような文章にすることを求める方針とされる。他の案での決着はもちろん、先送りも認めないという姿勢の表れだ。 両政府は中間報告をとりまとめたうえで、29日にライス国務、ラムズフェルド国防両長官と、町村外相、大野防衛庁長官が出席する2プラス2をワシントンで開いて、発表することを検討している。そのためには、来週早々の決着が期限となる。 日本側にも「これ以上、先送りはできない」として、今週中には最終的な態度を決めなければならないという認識が広まっている。しかし防衛庁内には「辺野古沖縮小案は環境に与える影響が大きく実現は困難」などとして、あくまで「沿岸案」を主張すべきだとする意見も根強く残る。「あとは政治判断だ」という声も出てきた。 米側は日本に合意を促すため、「辺野古沖縮小案」を受け入れた場合の「沖縄の負担軽減策」を、すでに与野党幹部や沖縄県幹部などに説明している。 そのうち目玉となるのが、キャンプ・コートニー(同県うるま市)にある第3海兵遠征軍司令部のグアムへの移転だ。司令部要員を中心に3000〜5000人規模の削減につながると見られている。 このほか、空軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)に駐留するF15戦闘機の訓練の一部を、九州など本土に移転することや、現在都市部にある牧港補給地区(同浦添市)や那覇港湾施設(同那覇市)、キャンプ瑞慶覧(同北谷町など)の全面、あるいは一部返還にも言及しているという。 普天間問題は、在日米軍再編の中核的な存在となっているため、両国の関係者の間では、今回、移設先で合意ができなければ、再編協議そのものが決裂してしまう恐れもあると指摘されている。 |