2005年11月11日

共謀罪 ――質疑18時間 ぬぐえぬ懸念

11/9の朝日朝刊より引用。国会での「共謀罪」の審議について。

「たとえば、マンション建設に反対する住民グループが座り込みを計画しただけで、組織的威力業務妨害罪の共謀罪に問われないか―――審議では、こうした懸念が何度も突きつけられた」
「これに対し、法務省は『正当に活動している市民団体や会社の話し合いは、共謀罪にはあらたない』と断言し、『適用されるのは暴力団の組織的な殺人や振り込め詐欺などだ』と強調した」
しかしこの答弁に対して民主党の枝野幸男・衆議院議員は、
「条文のどこに『共同の目的が正当ならOKだ』なんて書いてあるんですか」
と反論した。
「共謀罪」が加えられる予定の「組織的犯罪処罰法」に於ける「団体」の定義は、「共同の目的を有する多人数の継続的結合体・・・」である。たしかに、どこにも市民団体や組合は含まれないとは書かれていない。
(この前書いたが)「治安維持法」は次第に成立時の説明が反故にされ、際限なく国民を押さえつける弾圧法に変質していったことを思い起こさせる。
ちなみに4年前に出た「法務省刑事局の検事らが著した組織的犯罪対策関連法の解説書」には、
「『共同の目的の説明』として、『目的自体が必ずしも違法な物である必要はない。会社が営利活動で利益を得ることも、共同の目的に当たり得る』
という説明があったという。
海渡雄一弁護士による、
「国会への説明が正しいというなら、重大な犯罪の遂行自体を目的としている団体が法の対象だと条文に明記すべきだ」
という主張は全く当然だろう。

また、公明党の漆原良夫・衆議院議員による、
「初めは正当な団体でも、途中から『変質』したとして、組織的犯罪集団とみなされる場合があるのでは」
という質問に、法務省は「ある」と認め、
「変質の有無を調べるために、会社や団体も捜査対象にならないか」という追撃には、「客観的な疑い」がなければ、「共謀を証明する材料」が無ければ捜査は出来ないと答えた。

この記事によると「共謀の証明」には「もう一つの問題が潜んでいる」という。
「日本の判例には、『共謀共同正犯』という考えがある。二人以上で犯罪を謀議し、誰かが実行すれば、直接には手を下していない共謀者も同様に罰せられるというものだ」
「この適用範囲は徐々に広げられており、最近の判例では言葉を実際にかわさなくても、グループ内に暗黙の了解があれば『黙示の共謀』が成り立つとまでされている」
これについて社民党の保坂展人・衆議院議員が「共謀罪」との関連性について質問した。
「共謀共同正犯と共謀罪の共謀は同一の定義か」
「ほぼ同一だ」
「では、言語なし、目くばせで共謀罪が成立する場合もあるのでは」
「目くばせでも十分共謀が成立する場合もあると思います」
・・・どうやら「共謀罪」が成立した暁には、ありとあらゆる団体・企業が「変質」する恐れありとして監視対象となり、「共謀の証明」のために電話やメールが盗聴・傍受され、「グループ内に暗黙の了解があった」という口実で一網打尽に検挙されることになるだろう。スターリン時代のソ連のような社会を現出させないために、この法案は永久に廃案へと追い込まなくてはならない。
「共謀罪が導入されれば、その立証のために会話や電話が盗聴され、監視社会につながる―――。法案に反対する弁護士らはそう訴えている」
posted by 鷹嘴 at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 共謀罪は廃止だ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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